高齢単身者の住まいと暮らしについて

2019年8月1日

 最近、ひとり暮らしをしているサラリーマン時代の先輩女性から「動けなくなったので、すぐ来て欲しい」と悲痛な声の電話があった。

 30分ほどで住まいのマンションまで行き、携帯電話で「エントランスまで来たので、オートロックを解除してほしい」と伝えたが、「無理!」との返答が・・・。
 そこで、管理人室の前に掲示してある管理会社の電話番号に電話して事情を話し、暗証番号を教えてもらい、2Fにある先輩の住戸の前まで到着。電話で「這ってでも玄関の鍵を開けて!」と伝えるも、出来そうにない様子・・・。

 たまたま近くに警察署があるので、そこへ行き相談したところ、派出所の巡査を派遣して状況を確認してもらえることになった。

 「鍵を壊してでも開けてほしい」とお願いしたところ、10名ほどの救急隊が来てくれて、梯子でベランダに上がり、窓側から救出することが出来た。いつも通っている近くの病院に救急搬送し、なんとか助かった。今回は助けることが出来たが、万が一の事態も有り得たという現実に、肝が冷えた。
 今読んでいるあなたには、「緊急時にすぐ連絡できて、対応してくれる相手」がいるだろうか?

 高齢単身者が増えている、孤独死が増えている、などは昨年度の高齢単身マンション所有者の資産管理を支援するシステムの研究会で把握していたが、身近にこんな事件が起きることは予想外であった。

 世の中には様々な高齢者の支援システムが存在する。それらのシステムを活用することを前提としつつも、既存システムを活用するだけでなく、もっと自らの意志で、高齢者が仲間と共に暮らすことのできるような住まいづくりについて、勉強会を呼びかけていきたいと思う。

(としまち研理事長 杉山 昇)

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