参加者が全工程をしっかり確認するコーポラティブハウス

2015年11月30日

sugiyama78横浜市で発覚した傾斜マンション問題は支持地盤に達していない杭があったため、建物が傾斜したという報道がなされています。

としまち研は、10 年前に発覚した耐震偽装マンション 1 棟の建替えをお手伝いさせていただきました。国や自治体から一定の補助金が出ましたが、被害に遭われた住民の皆さんは、約 3 年の仮住まい、新築購入時の住宅ローンに加えて約2,000 万円もの追加ローンを組むなど大変なご苦労をされています。

私どもも、これらの事実を他人事にするのではなく、肝に銘じて今後の取り組みに活かさなければなりません。これまでも、構造設計者から地盤のこと、杭や基礎のことなどをコーポラティブハウスやマンション建替えの参加者に向けて説明していますが、不徹底であったり、分かりにくかったりしたのではないかという反省があります。そこで、留意点を整理してみました。

1.建物全体の設計を踏まえつつ、参加者と担当設計者が各住戸内の設計を行いますが、常に“住戸内設計の結果、このような住戸になる”という完成形が両者で共有できるように努力する。

2. 施工者は、建物全体設計、住戸内設計について、原設計に従って施工するが、どうしても施工が困難な場合には、直ちに理由を設計者に説明し、必ず参加者に変更の了解を得る。

3.専門家に対する信頼が基本にあり、かつ、施工現場は危険であるとの理由により、これまでは杭や基礎などの具体的な施工方法の確認、現場の確認などは行いませんでした。しかし、参加者に杭が支持地盤まで到達したことを確認する方法等、実際にはどのように工事を進めているかの説明と見学の機会をできるだけ多く持つようにする。施工者は、工期に追われ、しかも危険な現場の立ち入りはしてもらいたくないのが本音かと思われますが、としまち研としての取り組みの基本姿勢であると理解してもらい、現実的な進め方を検討していきます。

以上のように、参加者に建築工事の工程をしっかり認識していただくということを真剣に実施していきたいと考えます。それが、“みんなでつくる住まい”=コーポラティブ方式の原点と思われます。

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